企業動画の構成・台本の作り方|撮影前に決める内容と確認ポイント
会社紹介や採用動画の構成案を見たとき、「伝えたいことは入っているけれど、本当にこれでよいのだろうか」と迷う人も多いでしょう。また、社内の意見を足していくうちに、情報が増え、何を伝える動画なのか分からなくなることもあります。
構成を考えるときは、見る人が知りたいことを整理し、それに答える映像と言葉を選びます。この記事では、企業の発注担当者に向けて、構成・台本の作り方と、制作会社から届いた案を撮影前に確認する方法を解説します。

構成・台本・絵コンテで、決めることを分ける
構成は情報を見せる順番、台本は各場面で見せる映像や話す内容、絵コンテは画面のイメージを具体化する資料です。制作会社によって呼び方や資料の分け方は異なり、一つの資料にまとめる場合もあります。名称よりも、何を確認するための資料かを共有しましょう。
発注者が最初から完成した台本を用意する必要はありません。動画を使う目的、見る人、使用する場所、公開時期、予算の目安が分かれば、制作会社と構成を考える出発点になります。

構成を作る前に、見た後に分かってほしいことを一つ決める
「会社の魅力を伝える」だけでは、必要な場面を選びにくくなります。例えば採用説明会で使うなら、「未経験で入社した人が、どのような仕事から始め、誰に教わるかが分かる」と具体化します。営業で使うなら、「製品がどの現場で使われ、何を支えているかが分かる」と整理できます。
次に、その人がまだ知らないことを挙げます。仕事の内容、担当する範囲、入社後の教わり方など、理解に必要な疑問を選びます。会社が言いたいことを並べるより、見る人が判断するために必要な情報を絞りやすくなります。
会社全体の紹介に何を含めるかから検討したい場合は、会社紹介動画の内容と構成の考え方もご覧ください。本記事では、決めた内容を場面ごとの台本へ落とし込む方法を扱います。

伝える内容に、根拠となる映像を組み合わせる
「社員同士の連携がよい」と伝えるなら、誰が誰へ何を引き継いでいるのかを見せます。「品質を大切にしている」なら、検査する場面と、そこで確認している内容を組み合わせます。抽象的な言葉に対して、実際に撮れる場面があるかを考えてください。
映像で分かることを、すべてナレーションで説明し直す必要はありません。映像で作業の様子を見せ、言葉では判断の理由や見ただけでは分からない情報を補います。字幕には職種名や要点を置くなど、それぞれの役割を分けます。
必要な場面を撮れない場合は、撮影日を変える、使用できる既存写真を探す、図解で補うといった方法を検討します。台本に書いてあるのに撮影予定へ入っていない、という状態を撮影前に見つけることが重要です。

台本は、時間・映像・言葉を並べると確認しやすい
以下は、採用説明会で未経験者へ入社直後の仕事を紹介する、90秒の架空の構成例です。レンズの実案件や、どの動画にも適した長さを示すものではありません。実際には、取材した内容と撮影できる場面に合わせて調整します。
| 時間の目安 | 映像で見せること | 話す内容・画面の文字 |
|---|---|---|
| 0〜10秒 | 今回紹介する担当業務と社員の姿 | 職種名と、この動画で紹介する仕事を示す |
| 10〜30秒 | 入社直後に覚える作業を、全体と手元で見せる | 最初に担当する範囲を説明する |
| 30〜55秒 | 先輩へ確認する場面、教わって試す場面 | 誰に何を確認できるかを、本人の経験から話してもらう |
| 55〜75秒 | 経験を重ねて担当する仕事の一例 | 仕事を覚える過程を紹介。全員が同じ期間で習得すると決めつけない |
| 75〜90秒 | 職種名と、説明会で次に確認する内容 | 動画後の質疑へつなぎ、募集条件は別の資料で確認することを案内する |
この表に加えて、各場面の撮影場所、出演者、確認が必要な情報をメモしておくと、準備するものが分かります。例えば先輩へ質問する場面なら、その仕事を説明できる社員と、業務を妨げずに撮影できる時間を確認します。
台本の段階では、完成映像の細かな動きまで想像できなくても構いません。各場面が「何を理解してもらうために必要か」を説明できる状態を目指します。

冒頭部分と長さは、視聴環境に合わせて調整する
SNSで偶然見かける動画なら、冒頭で何の話か、自分に関係する内容かを判断できるようにします。製品を使う場面や、視聴者が知りたい仕事を先に見せる方法があります。注目を集めるために、実態より大きな約束や不安をあおる言葉を入れる必要はありません。
一方、採用説明会では、登壇者の説明を受けてから動画を見る場合があります。その直前に何を話すかを確認し、動画で同じ説明を繰り返さないようにします。説明会だから最後まで集中して見てもらえるとは限らないため、映像で何を確かめてほしいかを伝えてから上映するとよいでしょう。
長さは、必要な説明と視聴環境から決めます。文字を読む時間、作業を見分ける時間、話の間を含めて確認してください。情報が多すぎる場合は、早口にしたりカットを細かくしたりする前に、別の動画や資料へ分けられるかを考えます。

インタビューは、回答を決める前に聞く内容を整理する
社員や経営者の経験を伝える場合は、聞きたい質問と確認する事実を準備し、回答は本人の言葉をもとに組み立てます。構成案に仮の回答を書く場合も、「こう話してもらう」という確定したセリフとして扱わず、事前取材で確かめる内容と分かるようにします。
話すことに慣れていない出演者には、質問を事前に伝え、思い出した出来事を短くメモしてもらう方法があります。制度や数字を正確に説明する場面は原稿を用意するなど、自然さと正確さのどちらが必要な場面かを分けます。
例えば「仕事を覚えやすい職場です」という回答を求めるより、「入社して最初に教わった仕事は何でしたか」「分からなかったときは誰に聞きましたか」と尋ねる方が、実際の経験を確認できます。回答の意味を変えないことを前提に、伝える順番を編集で整えます。

制作事例で見る、情報を並べる順番の考え方
企業の情報を紹介するときは、項目を漏れなく入れるだけでなく、その順番で見ると何が分かるかを考えます。専門的な製品なら、製造の場面と使われる場所を結び付けることが、事業を理解する材料になります。
レンズが企画・構成・撮影・編集を担当したホクエツ信越様の会社案内動画では、会社の歴史と事業から、製品、社会での活用、働く人へとつなぐ構成を採っています。製造工程や施工現場、社員の仕事風景を組み合わせ、製品と会社の役割を伝えています。
株式会社ホクエツ信越様|会社案内動画の制作事例をご覧ください。これは情報の見せ方を確認する事例です。同じ順番をすべての企業に当てはめるのではなく、自社の視聴者がどこから知る必要があるかを考える参考にしてください。
撮影前の確認は、好みより目的・事実・撮影条件から進める
構成案の確認を「もっと感動的に」「もう少しテンポよく」といった印象だけで進めると、何を直せばよいかが曖昧になります。まず、次の項目を確認します。
| 確認すること | 確認時の問い |
|---|---|
| 目的 | 見た人に分かってほしいことへ、各場面がつながっているか |
| 説明の根拠 | 強みを示す言葉に、実際の仕事・製品・経験が対応しているか |
| 事実と表記 | 制度、数値、肩書、製品名は正しいか。誰が最終確認するか |
| 撮影できる条件 | 出演者と場所を確保できるか。撮れない工程や公開できない情報はないか |
| 言葉と音の役割 | 専門用語が伝わるか。音声なしでも必要な情報が分かるか |
| 確認の進め方 | 構成・撮影内容・初稿を、いつ誰が確認するか。修正をまとめる担当者は誰か |
音楽は、構成段階で落ち着いた印象にするか、軽快に見せるかといった方向を共有しておくと、関係者のイメージを合わせやすくなります。具体的な曲や音量は映像と合わせて確認し、話し声や重要な作業音を妨げていないかを確かめます。
修正を伝えるときは、例えば「10〜30秒の作業が未経験者には分かりにくいので、手元に加えて全体が見える場面を入れたい」と、場所・理由・変えたい内容を示します。全部署の要望を足す前に、最初に決めた目的に必要かを確認しましょう。
撮影後に、新しい現場や出演者が必要になる変更をすると、追加撮影や編集のやり直しが発生することがあります。見積もりでは、構成案の作成・確認、事前取材、修正の範囲を確認します。詳しくは、映像制作の費用と見積もりの確認点をご覧ください。

伝えたい内容を、構成と撮影内容へ整理するところから相談する
合同会社レンズでは、企業向け映像について、ヒアリングから企画・構成、撮影・編集まで対応しています。対応サービスと制作の進め方もご覧ください。
「伝えたいことが多く、順番を決められない」「社員の話と仕事風景をどう組み合わせればよいか分からない」。その段階から、優先する内容、見る人が知りたいこと、必要な取材・撮影、予算に合わせた制作範囲を整理します。
お問い合わせには、動画の目的、見る人、使う場所、希望時期、予算を分かる範囲でお書きください。会社案内や採用資料、構成案がある場合は、その有無もお知らせください。台本が完成していなくても相談できます。
新潟を拠点に、企業の成長に直結する映像戦略を手がけるクリエイティブディレクター。企画・構成・演出まで一貫して担うスタイルを強みに、採用・販促・ブランディング領域で成果につながるコンテンツを数多く制作してきた。